一番好きな虫
愛嬌のある仕草と表情にどこか人懐っこさを感じる。
大雨を避けて店の軒先で雨宿りしているのを見つけた。
鉄の骨を与えると、ぶら下ったまま僕が帰るまで待っていてくれた。
仕事中、どこかにいってやしまいかと時々覗ってみたけれど、かわらずそこに居て、時々こっちを向いて僕と目が合った。
仕事を終えると手の上に乗せて車を止めている駐車場まで歩いた。
車のダッシュボードに降ろすとうろうろ、きょろきょろ。
猫が毛づくろいをするように丹念に手足の手入れをしていた。
短い時間だけどえらく幸せを感じた。
幸せってそういうことなんだと思う。