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「糸の旅 思い出とともに… 森麗子画文集」

糸の旅
「糸の旅 思い出とともに… 森麗子画文集」
            森麗子/著    求竜堂 刊

本書は世界を旅した作家 森麗子さん(1921~)が70年頃から91年までに発表した作品を集めた2冊目となるの画文集です。染め、刺し、織り、アップリケなど様々な技法を用いたファブリック・ピクチャーと呼ばれる作品たち。
縦横自由に這う糸によって描かれる景色は、暮れゆく時間の、遠い異国での想い、いくつもの黄昏を封じ込めた心象風景です。古びた街並み、白夜の水辺、闇夜の木立、そして月。それらが美しく詩的なテキスタイルとなって現実よりもなお色濃く心に迫ります。
本書を手に取るとき、心は彼の地へ旅立ちます。
遥か遠く森を見下ろし、月を見上げる孤独な旅行者となって、いつまでも眺めていたい一冊です。
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スティル・ライフ

スティルライフ
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、

きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び

立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。

 たとえば、星を見るとかして。    <序文より抜粋>


 「スティルライフ」は詩人でもある池澤夏樹が87年芥川賞を受賞した代表作です。
余分なものをそぎ落とした清清しい文章とそれによって描かれる、美しく詩的な光景。
それは一面に降りしきる雪や煌く無数の星屑。
本書の描く世界では物理の理の中にあっても、たとえば科学反応ですら詩的な美しさを魅せます。
 読者は、短い物語の中、心に残る風景とともに、自己とそれを取り巻く世界、その関りについて、
心の奥に深い余韻を残すことになるでしょう。
雪のように溶けてしまう魔法がかけられた言葉。何度でも読み返したくなります。
寒い冬の日は同時収録の「ヤーチャイカ」もすばらしい本書をそっと開いてみてください。


冬の静けさは、自分の内側にある世界の存在を際立たせます。足音や誰かの吐く息も。
寒くなりました。出歩くのが億劫な担当です。
今月は寒い季節に読んでもらいたい一冊を紹介致しました。

1月は「冬に読みたい本」の特集も予定しています。どうぞお楽しみに。


今、この時期にこそ読んで欲しい

砂
1/8m.m.
引き込まれるというよりも、ずるずると一定の速度で引きずりこまれていくような読感。

<砂----岩石の砕片の集合体。時として磁鉄鉱、錫石、稀に砂金等をふくむ。直径2~1/16m.m.>
<・・・なお、岩石の破砕物中、流動によってもっとも移動させられやすい大きさの粒子。>
(ともに本文より)

砂の女 / 安部公房

ーー僕の読書体験よりーー
奇しくも、連日の猛暑、肌にまとわりつくような異常に粘り気のある風、炎天下で肌を焼かれながら読み進んでいたため、物語の主人公が体験する過酷な環境をどこかリアルに感じることが出来たかもしれない。
そのような環境下でそれを遥かに凌ぐ不快な場面を読むことはこの上なく不快で、口の中は常に砂の味がした。

日常から逃避すように砂丘を訪れた男は、そこで非現実的な出来事に遭遇し、悪夢のような非日常に捕われてしまう。待ち受けていたのは抜け出すことの出来ない砂の女との生活と蒸れて焼けた砂、砂、砂。
阿部公房のえがく何かがずれたような世界。
群集の放つ狂喜、熱気、漂う不快な匂い、動物的な情欲など、纏わりつく感覚は現実以上かもしれない。
日常という世界から逃避した男が見出だした答えは生きることの本質に迫るものではないだろうか。

とても読みやすく、その熱気にズルズル引き込まれる。
今、この不快極まりない季節にこそ読んで欲しい一冊です。
(実体験から炎天下で読むと相当きます。砂の味が。。。)
今年の新潮文庫の100冊にも選ばれていますので、是非暑いうちにお召し上がり下さい。

ビバビバ

くちぶえ
くちぶえサンドイッチ 松浦弥太郎随筆集

少しずつ。
読書は通勤の10分徒歩の時だけなので、文庫本一冊がなかなか終わりません。
本書はご存知、暮らしの手帖社の編集長、松浦弥太郎さんの随筆集。
旅のこと、本のこと、そして日々の小さくてけれど重要なことが弥太郎さんの気取らない言葉で綴られています。
読めばいつでも心が自由になる素敵な本です。

今読んでいるのは、ビバビバ日記の章。
小さな小さな文筆家、松浦にこちゃんの日記です。
子供の視点で語られるキラキラと輝いた毎日。
「喜び」の源泉ってなんなのか。本当に心が洗われます。

小さなお子さんがいる人はもちろん、そうでない人もこれを読んだら口角上がりますでしょう。
誰かにプレゼントするのもよいかもしれません。
そういう僕もコレを渡したい人がいます。それもたあくさん。

ビバ良い読書を。
(はせがわ)

置き場:ダイエー横の島本店 入って右手のBSB区画、外回りの平台です

秘密のおこない / 蜂飼耳

秘密のおこない
蜂飼耳(はちかいみみ)は詩、小説、エッセイと様々な分野で活躍されている気鋭の作家です。
本作「秘密のおこない」は2006~2008年にかけての各紙誌掲載の67篇が収められた随筆集。
内容は、日常に潜む様々な出来事を作者独自の繊細な感覚で捉え、時に美しく、時にユニークな言葉で綴った数ページのエッセイや評論を収めたもの。

どうやってこの本と出合ったか忘れてしまいましたが、ある日僕はこの本を手に取り表紙を眺めていました。
「秘密のおこない」。まるで空に、宙に言葉をかいたような抽象的な装丁に僕の心もふわりと地面から離れます。
ページをめくる。目線は目次の上を流れる。目に飛び込む表題に胸のあたりが少しざわめく。
”眼鏡”、”巻いてみる”、”冬空紀行”。”ご注意下さい”、”牛とともに”・・・。
どの話を読んでも、過去に読んだ文章にはない感覚が残り、しだいに胸にできた穴、空間、空白が膨らんでいきます。すがすがしくも少し張り詰めたような感覚。

さらりとした文章。淡々とした語り口。誰もが日頃口にするようなありきたりな言葉達。
我々が普段から見聞きし、使っている言葉、その連なり。
それも蜂飼さんが編むと豊かで美しく暖かな”生”を宿したものになる。
言葉はこんなにも美しいのかと。
自分が使う言葉のおざなりさを少し恥ずかしく思う。

読み進むうちに言葉が生きているのは優れた技法によるものではないことに気づく。
蜂飼さんの言葉が生きているのは、詩人として作家として真摯に誠実に言葉を見つめ続けた結果だと思う。いくつかの話でもそんな姿勢を垣間見ることができる。
エッセイでは日常を切り取る視点もまた繊細で、ユニーク。なんでもない日常のどんな無意味からも素敵な物語を聞かせてくれます。そして何度も口元が緩みます。

言葉も日常も、見るものの感性で想いで生き生きと輝く。
そんな作品でした。
世の中に流されるのではなく、自分の目で世界と向き合いたい人に。
素敵な本でした。

固定観念なんていらない。

店番をしていて不意に本を手に取ることがあります。自分の中では”つまみ読み”と呼んでいる行為で、これはつまみ食い同様に、とても癖になるし、何故かとても美味しく感じます。
今日、本棚を整理していて手に取った一冊は、「ふしぎなナイフ」という福音館書店のこどものとも傑作集に収められていた有名な絵本。
この絵本、ページをめくると一つの無表情に描かれたナイフがあります。そしてそれは無言でねじれ、まがり、とろけ・・・ページごとに様々な形をとります。
次々と現れるふしぎな光景、予期せぬ変化に、夢中にさせられ、ナイフに対する固定観念が失われていく中で奇妙な心地よさを覚えます。

今思えばこれまでにも何度かこの本を開いていたことがあります。
それは、この本の持つ無言の力強さやふしぎな力によって、本来そうであったはずの自分に出会う驚きがあるからなのかなと思います。

  「ふしぎなナイフ」は、ハッとする本当にふしぎな本です。

ふしぎなナイフ


是非みなさんも手にとって子供のような驚きをもった本来の自分に出会ってみてください。
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